ろばーと気まま雑記

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映画『キャプテン・マーベル』感想 『エンドゲーム』の前に置かれた“アベンジャーズ エピソード・ゼロ”

公開から2週間経ってようやく観てきました『キャプテン・マーベル
オープニングクレジットで早速息をのませられましたね。Thank you...

感想をひとことでまとめてしまうならばタイトルにもつけた通り、「アベンジャーズのオリジンを知るための作品」といったところで、キャプテン・マーベルことキャロル・ダンヴァースのオリジンと言うよりは、これまで追いかけてきたMCUの現状を総括し、これまでの物語を紡いできた全20作に想いを馳せるためのエピソード・ゼロという趣での鑑賞になりました。


※以下、『キャプテン・マーベル』本編のネタバレを含みます。

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これまで追いかけてきたと言いつつ2008年の『アイアンマン』からではなく、2015年の『AoU』の公開に合わせてそれまでの『アイアンマン』〜『GoG』までを友人と一気見して以降ではありますが。
それでも『シビル・ウォー』、『バトルロイヤル』、『ブラックパンサー』といった個々の作品が最高潮に盛り上がったフェーズ3をリアルタイムに追いかけてはや3年、『エンドゲーム』でついに“インフィニティ・サーガ”(フェーズ1~3の総称)が終焉を迎えるというのは得も言われぬ気持ちになりますね。

というように『エンドゲーム』の直前に置く作品としてはこれまで追ってきたMCU作品に思いを馳せる事が出来るという意味でユニバースの流れの中では上手な作品になっているなと感じました。


反面、原初にして登場順としては最新のヒーローであるキャプテン・マーベルのオリジンエピソードとしてはどこか単調というか、劇的なドラマを抱えているはずなのに描写が弱かったように思います。
宇宙に出る前から様々な困難に対して怖じけずに屈することなく立ち上がってきたヒーロー像。それは予告編でも描かれており、「女性ヒーロー」という見方からも重厚に扱われる事を期待していたのですが。

ヒーローのオリジンエピソードは基本的には、当人が抱えている悲劇の奥にある負の感情が外敵によってドリブンされるもそこから何かしらのきっかけで得ている言葉や想いを胸に立ち上がるというの構造がよく取られると思っていて。
そのシナリオの中で観客がどこまで自身の似たものを投影しながら鑑賞を進めたかで気持ちの揺さぶられ方が変わってくるものだと思うんですよね。

キャプテン・マーベル』ではこの「悲劇」の扱いを朧げに再生される記憶の中に留めてしまった事で奥にある負の感情がいかほどなものだったのかが上手く見えなかったのではないかと。
カーレーシング、野球の試合、空軍での訓練などその場での主役が男性だというだけで心無い言葉を浴びせられてもしっかり立ち上がれる。
元より強かった女性が宇宙規模に巻き込まれて少し混乱していたけど結局強いよね、と映ってしまいその点はあまり気持ちの動く点が無かったのが少し惜しい。

まぁキャロル・ダンヴァースのキャラクター描写としてもそのような弱さを描いて惹き込む必要はあまり無いのかもしれません。
スカッと強い。それが良い。みたいな捉え方もできなくはない。

でもMCUに登場している女性キャラクターって男性キャラクターに比べるとなんだか問答無用に強いみたいなイメージがあるんですよね。 ワスプにしろブラック・ウィドウにしろ。 MARVELとしてそういう描き方なのかドラマを充てる尺の問題なのかはいまいち分かりませんが笑


話を少し戻してシリーズ全体のエピソード・ゼロという点でいくと、もう一つここまでMCUを追いかけてきた人たちがニヤっとできるようなサービスがあると嬉しかったなとも思いました。
エピソード・ゼロ系の話と来ると自分の中では『モンスターズ・ユニバーシティ』が真っ先に浮かんでしまうのですが、同作は前作の『モンスターズ・インク』を知っているからこそ楽しめる描写も多くあってすごく好きな作品の一つなんですよね。
もちろん多種多様なキャラクターを抱えているMCUだとやれる事も当然違ってくるはずですが、例えば空軍基地にヴィヴラニウムだったり超人血清を匂わせる何かがあったり、いくつか登場する惑星の名詞の中にアスガルドが出てきたりすればベタベタだとはありますがMCU作品として他作品への目配せがあると繋がりをしっかり感じられてもっと楽しませてもらえたかななんて思ったりもしてしまう。




ストーリーの話をするとクリー帝国が「高度AIに導かれる帝国」なんて時点でこれはダメでしょ感満載でしたが案の定でした。笑
SF系において高度AIが支配してる文明、ロクじゃない。
同じく高度AIを扱った物語で昨年アニメ化もされた『BEATLESS』という作品があるのですがあの感じを思い出しました。

だからといって見た目完全に宇宙ヴィランのスクラル人との共闘態勢に入りかけた時もえっ?ん?どっち転がるのこの話?といった風にビクビクしながら楽しんでいましたが。
キャプテン・マーベル』だけ観てるとスクラル人ただの被害者感出てましたけどそれなりに侵略活動?も広げていたみたいだし相変わらず宇宙事情がよく掴めないMCU
ドラマシリーズは一切カバーできていないのですが『エージェント・オブ・シールド』や『インヒューマンズ』まで観ておけばしっかり分かるものなんでしょうか。

BEATLESS 上 (角川文庫)

BEATLESS 上 (角川文庫)

BEATLESS 下 (角川文庫)

BEATLESS 下 (角川文庫)




また、一安心できたのがどうやらキャプテン・マーベルはチートキャラでは無さそうだということ。
下の記事であったように一時はまさかのタイムトラべル能力持ちかもということで、彼女の投入だけで『エンドゲーム』はほぼ決着がついてしまうのではないかという心配もあったのですが、実際に本編を観てその感じは無さそうなので安心しました。

やはり彼女の魅力は両腕のフォトン・ブラストのパワーとその剛毅な性格にあると思うので、あまりトリッキーな真似は何となくしてほしくなかったんですよね。
アベンジャーズにいてもシンプルに物理で殴りに行くアタッカー的なポジションで動いてほしいなという所。
theriver.jp theriver.jp


ともあれ、さすがはMARVELといったところで気になる所はあっても不満は全く無い一作でした!
来月はいよいよ『エンドゲーム』。上映時間3時間越えだそうですが果たしてどんな集大成を観せてもらえるのか。
今からワクワクが止まりませんね。