ろばーと気まま雑記

気ままに書いてきます

ありがとうルパパト/初めてスーパー戦隊に熱中させてくれた理由を考える


本日2/10(日)、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』こと「ルパパト」の最終回が放送され大団円を迎えた。
Twitterをはじめとした各種SNSでの特撮界隈の盛り上がり様や、出演俳優さんたちのコメントに親交のある方々からのコメント、どの方面からも絶賛の最終回になったと思う。
今作は自分にとってもこれからも思い入れの深い作品の一つとして数えたいものとなり、端的に言えば一年間最初から最後まで惹きつけられ、楽しませていただいた作品となった。


正直これまで自分にとってのニチアサは「仮面ライダーが先、半分おまけでスーパー戦隊も見ている。」という状態であった。
しかし『ルパパト』が放送されたこの一年間、スーパー戦隊はおまけなどでは決してなく、確実に自分にとってのニチアサの50%以上を占めていた。
これは何故かというと、自分が視聴作品に対して心のどこかで求めているものは
「先の展開が予想できなくもないがそう来た場合は云々で仮に来ない場合次はここの関係が云々」
という、先行きをチラ見させているものの最終的にどこに転がすのかまでは分かりきらない、さぁどう描かれるのかといった攻防を放送の間に繰り広げさせてくれるか、だからではないかと思う。
つまり、当面の落とし所は分かるがこの物語は最後にどこに落ちるんじゃい!が常に感じられるかどうかだ。


このようなドライブ感を欲しがった時、これまでのスーパー戦隊でそれを感じることは自分としては少なかった。
敵組織の目的は基本的に「○○の力で××を支配したい」と物語の当初から分かっているし、それを阻止するために戦う戦隊側は目的を同じくするチームとして在るんだという暗黙の了解が、物語の中の彼らにはいざ知らず、画面のこちら側の我々には少なからず存在している。
最初に提示された向こうとこちらの対立関係が根本からひっくり返るようなことは起きないと何となく分かってしまうのだ。
つまり物語の構造に変化が起きにくいと言える。
(かなり自分の見解に基づいているのでそんなことはない!という作品があれば是非教えていただきたい)


仮面ライダーでは、序盤ではなぜか怪人が現れるようになった世界で戦っている仮面ライダーが描かれる事がしばしばであり、ハナから敵組織の最終目的が何なのかがはっきりしている場合は少ない。
さらに誰がこっちで誰が向こうになるのかを序盤で見切ることは難しく、対立関係がひっくり返るような展開は一つの作品中に何度もある。
その中で2号ライダーが敵になったり3号ライダーが味方になったりと誰がどこに立っているのかを常に追いかけ続けるドライブ感が生まれる。



これがルパパトではどうだったかというと「W戦隊」の構造が本当に上手く効いていたと思う。
上で戦隊の使命は敵組織の目的を阻止する事にあると書いたが、今作でその使命を与えられているのはパトレンのみであり、ルパレンの使命はどんな手を使ってでも自分たちの目的を達成することだった。
ギャングラー、ルパレン、パトレン、W戦隊によるこの三項対立により視聴者の関心はこの三角形の最終的な辺の長さがどうなっていくのかに移る。
従来の様に戦隊側と敵組織つまり、線分の端点同士がやがてぶつかり合うというエンドではないだろう事が最初から提示されているのだ。



しかもこの物語で描かれていたのは二次元の三角形ではなく、ギャングラー、パトレン、快盗(ルパレン)としての3人、そしてジュレの店員としての3人を頂点とする四面体だった。
実際に三角形の辺の長さは限りなく縮まっていたのだ。しかしその二辺の頂点ははルパレンとパトレンの両戦隊ではなく、お巡りさんとジュレの店員たちとしての頂点だ。
ルパパトは絵に起こせば限りなく歪な形になっているであろうこの四面体の物語だったと言えるのではないだろうか。
点と点がぶつかるエンドに向かう物語ではなく、四面体が最後にはどのような形に変わっていくのかを追いかけ続ける物語。
前者の構造を持ったこれまでの戦隊では、視聴者としての自分は数回見逃してもいいのかなとなっていたのだ。もしかしたら戦隊側の点が分裂したりしてるかもしれないが少し待てばまた一つに戻ることは分かっていたから。
しかし四面体構造のルパパトは見逃すわけにはいかなかった。それこそ毎週欠かさずギャグ回すら利用して四面体の形が変えられていったからだ。
この四面体構造の変化を追い続けるドライブ感を感じられた事こそが自分がルパパトにここまで熱中した理由なのだと思う。



いま一度各話のタイトルを見返すだけでもその回ごとに四面体にどんな変化があったかを思い出す事ができ、本当に良い作品を一年間見せてもらえたなと思う。
玩具の販売実績など大人の都合によるアレコレが垣間見えてしまうこともあったが、そんな事は一切気にならないような最高の物語を味わわせてくれた。


次回作の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』はシリーズにとって平成最後の作品、恐竜モチーフでスーパー戦隊の王道中の王道を走っていきそうな作品だ。
今回は従来の構造でのスーパー戦隊を画一的に扱ってしまったが、次回作ではより深い構造を見つけられるように楽しみながら追いかけていきたい。
スーパー戦隊はおまけだなんて思ってた自分は、クシャクシャのポイだよ!!
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』、1年間ありがとうございました!