ろばーと気まま雑記

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劇場版『SHIROBAKO』感想

待望の劇場版SHIROBAKO、公開から1週間空けてしまいましたが見てきましたー!

SHIROBAKO』はテレビシリーズが大好きで何回も見直している作品!
2015年10月〜2016年3月の放送をリアルタイムに見ていたわけではありませんが、その後友人の勧めやSNSの継続的な盛り上がりを見て視聴したタイトル。 いわゆる「お仕事もの」でアニメ制作の現場を描くアニメという半メタなアニメ。笑

リアルに寄り添ったストーリーの中で時にシビアに時にコメディに描かれるキャラクターたちのドラマが堪らない作品でした。
アニメ制作を描くために一般的なアニメに比べるとそれはもう多くのキャラクターが登場しますが、実在のアニメ業界の方々をモチーフにしたキャラクターばかりでどれも魅力的なところも最高です。

そして個人的に『SHIROBAKO』の大好きなところは、現実をリアルに描いた作品が故に、何回見ても新たな発見や学びがあること。
作品内にはアニメに関わる多種多様な立場のキャラクターが登場しますが、もちろん視聴者もその時々によって抱えている問題や状態が違っているわけで、見るたびに刺さるセリフや描写、ドラマが変化していって、本当に何回でも見れる作品です。
未視聴の方は是非。そしてそのまま映画館まで行きましょう。

ということで、前置きが長くなってしまいましたが、劇場版の感想を書き留めて置きたいと思います!(ネタバレありです)

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ムサニが“おれたた”に復帰するまでの物語

2クール目のクライマックスで見事「第三飛行少女隊」を完パケし、希望に溢れた“おれたた”で幕を閉じたテレビシリーズのラストから一変、「タイマス事変」を経て活気も無くなり経営も苦しいという超絶厳しい状態からスタートする劇場版のムサニ。

劇場版全体としてはそんな絶望状態のムサニが劇場アニメ「空中強襲揚陸艦SIVA」の制作を経て、どうにか再び“おれたた”に辿り着くまでの物語だったように思います。
テレビシリーズではアニメらしい希望が伺える「俺たちの戦いはこれからだ!」でしたが、劇場版はより現実寄りで地に足の着いた「俺たちはこれからも戦いを続ける!」といったニュアンスだなぁと感じました。


パンフレットの冒頭ページに水島努監督からのコメントがありますが、その中でも「やけっぱちになりそうな時に、どうしたらいいのか?今回のお話は、ざっくりと、そんな感じです。」
「あんまり夢のないお話ですね。夢がなくてすみません。」
「でもその分、テレビの時よりも、もっとずっと現実に寄り添った作品になっています。」とあるので納得ですかね。
あ、映画見た人でパンフ買わなかった人は今すぐ書い直しに行った方が良いです。キャストインタビュー最高です。

そんな感じで、正直カタルシス的な大きさでいうとアニメシリーズラストの方が大きいのかもしれません。
劇場版のラストは、エンディングのカットも含めて現実を見た“おれたた”であり、ムサニやドーナツ娘たちの戦い(日常)はこれからも続くんだというしみじみした終わりでした。

でも、何よりそれが良い。
正直な話、『SHIROBAKO』という作品はその特性上どうしても「大きな夢が叶わない」作品だと思います。
どうにか「好き」を仕事にして働きながら生きていく上で、どうにもならない理不尽や感情の連続をどうやって乗り越えていくのか。
その中で生まれる人間ドラマやカタルシスが魅力的だからこその『SHIROBAKO』だと個人的には思います。

なので、劇場版で派手なことをしてきたな〜という印象はポジティブな意味で無くて、ファンが見たいなと思っていた『SHIROBAKO』の続きをしっかり見せてくれたんじゃないかなと。

「アニメシリーズの続きを見せてくれた劇場版」ということで、良くも悪くも作中でやってることはほぼ同じになります。
何となく時計を見ながら鑑賞していましたが、120分の尺の中割りは

  • タイマス事変以降のムサニの導入、SIVA制作をあおいが決心するまで(50分)
  • 昔の仲間が続々と集い、制作が順調に進行。げ〜ぺ〜う〜社長を成敗するまで(50分)
  • ラスト差し戻しまでの葛藤、エンディング(20分)

くらいだったんじゃないかと。安心して見れる構成でした。 中盤のアッセンブル展開では、テレビシリーズで描かれた各キャラの設定や関係性がうまく生きて飽きないテンポ感で楽しませてくれました。

アニメ視聴勢としては作品時間で4年(現実と同期していますが)経ったキャラクターの成長やそれぞれの立場、関係性の変化といった部分も大いに楽しめる部分でした。
登場人物が多いだけに挙げだすと本当にキリがありませんが、メインのドーナツ5人娘はもちろん、高梨平岡コンビ、小笠原さんや井口さんといった元ムサニの巨匠アニメーターたち、前社長や興津さん、葛城さんといったアニメ制作の本体以外の面倒を見ている人たちと、本当にたくさん。
テレビ版に登場したほとんど全てのキャラクターのその後を描いてくれていました。満足!

そして4年経ったキャラクターたちによって繰り広げられるドラマ。
あおいを厳しくも励ます前社長の言葉だったり、ハッとさせられる平岡の言葉だったり。
半自暴自棄になった監督や遠藤さんに寄り添う仲間たちの言葉だったり。

アニメ制作というクリエイティブな仕事だからこそ起きる理想と現実とのギャップへの葛藤や絶望、集団で作るアニメ制作だからこそあり得る結束や衝突。
SHIROBAKO』の見所はやはりこの部分に尽きるし、1番学びが多いのもこの部分だと思います。

それぞれの立場、それぞれの領域で戦い続ける。 人生は永遠に続く“おれたた”。
落ち込むことだった投げ出したくなることだって毎日たくさんあるけど、その中でどうにかジタバタもがき続けてこそどうにかなる。
そんなことを改めて思い出させてくれる映画でした。
(ちょうど就活中の身で昨日不採用メール受け取ったりと散々な気持ちだったので余計に沁みたw)

明日がどんな日か知らないけど、今日より良くなるか、変わらないか、また凹んだ気持ちにさせられるか分からないけど、それでももがいてやっていこう!
明日に向かってヨーソロー!